争点としてのジェンダー
 交錯する科学・社会・政治


江原由美子 , 加藤秀一 , 左古輝人 , 三部倫子 , 須永将史 .林原玲洋 著
定価(本体価格2600円+税)13-978-4863391116

主な目次

第1章 日本の定期刊行物記事における語句「ジェンダー」とそれを取り巻く語彙の変遷 1980年代-2015年 /左古 輝人
1. 本章の課題,対象と方法
2.〈ジェンダー言論〉全体にみられる諸特徴
3. フェミニズムとの異同
4. 経時的な変化 記事が掲載された媒体のジャンルからみた
5. 経時的な変化 内容からみた
6. 2011年以降の動向
7. まとめ:バックラッシュ?

第2章 〈敵〉を抽象化するレトリック─ 保守系論壇誌『諸君!』における反フェミニズム言説の変遷 /林原 玲洋
1. 序論:課題の設定
2. 『諸君!』におけるフェミニズム関連記事
3. 『諸君!』における反フェミニズム言説の変遷
4. 「バックラッシュ」言説のレトリック
5. 〈敵〉を抽象化するレトリックの効果
6. 結論:今後の課題

第3章 「原因」としての家族─ 「同(両)性愛」をめぐって /三部 倫子
1. コミュニケーションとしてのカミングアウト
2. 親子間のカミングアウトをめぐる先行研究
3. 調査方法・調査協力者
4.   分析
5.   考察と結論

第4章 学的概念としてのジェンダーはどのように組織化されたか /須永 将史
1. 問題の所在
2. マネーのジェンダー・ロール
3. ストーラーのセックス/ジェンダー
4. ミレットの父権制とジェンダー・アイデンティティ
5.   オークリーの社会学とジェンダー概念
6.   オークリーのジェンダー・ロールとケア実践
7.   結論

第5章 ジェンダー論と生物学─ 永続する闘争か? /加藤 秀一
はじめに
1. 生物学とジェンダー,あるいは「氏か育ちか」(から「遺伝子と環境の相互作用」へ)
2. フェミニズムと生物学─ 架橋の試み
3. ジェンダー研究と生物学の生産的な関係をつくりだすために─ 若干の考察

第6章 ジェンダー概念をめぐる攻防を「科学コミュニケーション」の視点から読む /江原由美子
1. はじめに
2. 「ジェンダー概念」は「性差の存在を否定」するか? ― 日本の「ジェンダー・バックラッシュ」における「ジェンダー概念批判」
3. 『ブレンダと呼ばれた少年』は「ジェンダー概念の非科学性の証拠」?
4.  アメリカ社会における「サイエンス・ウォーズ」
5.  日本の「ジェンダー・バックラッシュ」と「サイエンス・ウォーズ」
6. 「科学的世界」と「日常生活世界」― 再帰的関係が生み出す「コミュニケーション齟齬」?

補論 「構築主義」は「ポスト真実」を準備したか?  /江原由美子
1. ポスト真実の時代?
2.「ポスト真実の時代」と「社会構築主義」
3.「知識の構築性」とはどのようなことなのか
4. 社会に発信する「科学者」「研究者」の責任
5. まとめ

あとがき

索引(人名・事項)